重症化は命の危険?熱中症!

近年日本の夏は「猛暑」とという言葉がぴったり当てはまるほど、厳しい暑さに見舞われるようになってきました。様々な原因があるのだと思いますが、加速する自然破壊により地球温暖化が進みその結果、我々の生活にもその影響が出ているのかもしれません。

そのため毎日のようにマスコミは熱中症対策を盛んに呼びかけ、何百人もの人が命を落としている熱中症の危険性を発信しています。この記事では熱中症にはどのような種類があるのか?重症化がどれほど危険なのか、どんな後遺症が残るのか、などを紹介したいと思います。それでは記事を始めてまいります。

熱中症の種類

私たちの身体には気温湿度が高くなると、汗をかくことで体温の異常な上昇を防ごうとするメカニズムが備わっていますが、このメカニズムがうまく機能しない場合、熱中症の一連の症状に見舞われることがあります。熱中症は軽度から重度まで大きく分けて4種類のものがあります。

まずは熱失神と呼ばれるものです。この症状は身体を冷やすために皮膚血管の拡張をさせすぎることによって血圧が低下し、脳への血流が悪くなることにより引き起こされます。特徴としてはめまい、一時的な失神、顔面蒼白、脈は速くて弱くなるといった症状が挙げられます。

次に熱けいれんという症状です。大量に汗をかいた時、水だけを補給することによって血液の塩分(ナトリウム)濃度が低下し、足、腕、腹部の筋肉に痛みを伴ったけいれんが起こります。特徴としては、筋肉痛手足がつる、筋肉がけいれんするといったことが挙げられます。

次は熱疲労です。これは大量に汗をかいた時に水分を補給せず、身体が脱水状態に陥ってしまっている状態です。特徴としては全身倦怠感、嘔吐、頭痛、集中力や判断力の低下などが挙げられます。

そして一番重度の高い熱中症の症状として挙げられるのが熱射病です。これは体温の上昇のため中枢機能異常をきたした状態です。意識障害(応答が鈍い、言動がおかしい、意識がない)がみられたり、ショック状態になる場合もあります。他にも呼びかけや刺激への反応がにぶくなったり、言動が不自然ふらつくといった症状がみられます。

重症化の危険性

熱失神や熱疲労の場合、日陰などの涼しい場所に移動し、水分を補給すれば通常は回復します。足を高くし、手足を末梢から中心部に向けてマッサージするのも効果的です。吐き気やおう吐などの症状によって水分補給が難しい場合は病院に運び、点滴を受ける必要があります。

熱けいれんの場合、原因は血液の塩分濃度の低下ですので、生理食塩水(0.9%)を補給するとよいでしょう。つまり、軽度の熱中症であれば、適切な応急処置を施せば、ほとんどの場合は回復します。しかし処置が遅れると症状が悪化し、命に関わるケースもあるのが熱中症の恐ろしいところです。

特に熱射病の症状がみられる場合は死の危険のある緊急事態です。体を冷やしながら集中治療のできる病院へ一刻も早く運ぶ必要があります。いかに早く体温を下げて意識を回復させるかといった現場での処置が重要になってきます。

熱射病の症状がみられる場合には、直ちに冷却処置を開始しましょう、身体を冷却する際は、皮膚を直接冷やすより、全身に水をかけたり、濡れタオルを当てて扇ぐ方が、気化熱による熱放散を促進させるので効率がよくなります。また、頸部、腋下(脇の下)、鼠径部(大腿部の付け根)などの大きい血管を直接冷やすのも効果的な応急処置の方法です。

近くに十分な水が見つからない場合、効果的な体の冷却法として、水筒の水、スポーツドリンク、清涼飲料水などを口に含み、患者の全身に霧状に吹きかけます全身にまんべんなく吹きかけることにより、汗による気化熱の冷却と同じような効果をもたらします。これらの液体は、冷たくなくても効果があります。また熱射病では合併症に対して集中治療が必要になってきますので、このような方法で身体を冷却しながら、設備や治療スタッフが整った集中治療の可能な病院に一刻も早く運ぶ必要があります。

熱中症が重症化すると意識の混濁や異常な言動、全身のけいれん嚥下障害などへと症状が悪化していきます。さらに昏睡状態から多臓器不全を起こすと、最悪の場合は死に至る可能性もあります。

仮に一命をとりとめても、入院が長期に及んだり、脳機能に後遺障害が残る危険もあり、深部体温が40℃を超えると全身の臓器が修正不能な傷害を受けるのです。その結果、めまい歩行障害などの小脳の異常、手が震えや筋肉が硬直するパーキンソン病と同じような症状や、記憶障害腎機能障害が後遺症として残る場合もあり、やはり普段からの注意が必要です。

まとめ

これまで解説してきた通り、熱中症には様々な種類があり、重症化すると、命を落とす危険があるほか、後遺症に苦しむケースもあります。たかが熱中症と決して侮るべきではありません。

平熱が高く体温調節機能が未発達の乳幼児や、暑さへの感覚が鈍くなっている高齢者は、特に熱中症予防の対策が必要です。適切な休息と十分な水分・塩分補給のほか、帽子や風通しの良い服を着用するなどして夏場の熱中症対策を心掛けましょう。