スポーツ外傷で一番多い足首の捻挫・足関節捻挫とは

病気やケガといったものにはどれにでも軽度・重度といったレベルがあります。風邪で命を落とす方は現代では珍しいですが、肺炎ともなるといまだに多くの方の命を奪ってしまう恐ろしい症状です。

今回ご紹介する足関節捻挫も、もちろんそういった種類のものです。捻挫と聞くとちょっとしたもので放置しておけばすぐによくなるという認識をどなたもお持ちだと思いますが、捻挫は脱臼などと同様に再発しやすい傾向にあり、しっかりと安静にして完治してから活動を再開しないと、何度も捻挫を繰り返すばかりか重い捻挫を繰り返すと靭帯など重要な組織を断裂してしまうこともあるのです。

何事もやり過ぎはよくないとはよく言われる言葉ですが、過度な練習を繰り返し、治らないケガにまで発展させてないよう、日ごろから注意しましょう。それでは記事を始めてまいります。

足関節捻挫とは?

サッカーやバスケットボールなどのスポーツで多く見られる、足首の捻挫。切り返しやジャンプなどの動作時に足を内側にひねることで、足首にある足関節を捻挫してしまうのです。

そもそも「捻挫」とは関節の骨と骨とを繋いで支え安定性を確保する靭帯や、筋肉と骨とを繋ぐが傷ついてしまう外傷のこと。スポーツや事故などで関節部分が不自然に捻られると、靭帯や腱がそのストレスに耐え切れなくなって異常に伸びてしまったり切れてしまったりするのです。

これが足首付近にある足関節で起こるのが、「足関節捻挫」です。足関節には「距腿関節」と「距骨下関節」という2つの関節の安定性を確保するため複数の靭帯が存在しているのですが、このうち足関節のうち返しを制動している「前距腓靭帯」と「踵腓靭帯」は、足首を内側に強くひねるとその外力がダイレクトに伝わって損傷します。これを「内反捻挫」、逆に足首を外側に捻ることで起こる捻挫を「外反捻挫」と呼びますが、足関節捻挫のほとんどは内反捻挫です。

足関節捻挫のレベル

捻挫にはその損傷具合によって3つのレベルに分類されており、足関節捻挫も例外ではありません。

1度は最も軽度と分類される足関節捻挫で、靭帯の一部にわずかな断裂が見られ軽度の腫れと圧痛があるものの、不安定性はなく歩行や軽い走行も可能です。スポーツをしている人でも、2~3日安静にしていれば競技の復帰が望めるでしょう。

2度は靭帯に部分断裂が見られるため歩くことはできても走ることはできない場合が殆どで、広い範囲に腫れと圧痛が見られます。とは言え完全に断裂しているわけではないので不安定性はなく、運動療法による保存療法で回復が見込めます。

3度は最も重度に分類される足関節捻挫で、靭帯が完全に断裂しているため不安定性が見られ、強い腫れや圧痛、皮下出血などを伴います。断裂した靭帯を繋げるため一定期間ギブスで固定しまずは保存療法を試みますが、それでも繋がらない場合には断裂部分の縫合手術が必要となる場合もあります。

1度のような軽度の足関節捻挫の場合、前述の通り多少の圧痛や腫れがあっても歩いたり軽く走ったりできるため、「単なる捻挫」と判断し放置してしまう人が少なくありません。とは言え実際に1度なのかどうかは調べてみないと確定できませんので、やはり早期回復を望むのであれば、自己判断せず専門家に相談する方が良いでしょう。

まとめ

今回はスポーツに関するケガで最も多い足関節捻挫について記事を書いてまいりました。足首の捻挫はどのようなスポーツをしていても起こりうるものですし、軽度であれば痛みも我慢できる範囲ですから放置してしまいがちですが、文中にもあるように悪化していくと、とても軽度とは言えないケガにまで発展していきます。

どのような病気・ケガでも早期発見・早期改善が一番ですが、捻挫はクセになりやすいことから、何度も繰り返してしまう時は下記のような点に注意したり、練習フォームの改善などに取り組むようにしましょう。

捻挫(ねんざ)予防のポイントは主に4

捻挫(ねんざ)を予防するためには、手や足などをひねって関節に無理な力がかかることを防ぐことが必要です。転んだり、人や物とぶつかったり、階段を踏み外したりという不慮の出来事を防ぐためにも、以下の4つを心がけましょう。

スポーツ前にはしっかりウォーミングアップしましょう。

急に体を動かすと、思うように動けず、バランスを崩して転んだり、人や物にぶつかったりすることがあります。スポーツする前には手首、足首を回したり、ストレッチをしたりと十分に準備運動を行いましょう。普段運動する習慣のない人はもちろん、運動し慣れている人も油断は禁物です。

サポーター、テーピングを使って足首や指などを守りましょう

ひざや足首にサポーターを付ける、指にテーピングをするなど、捻挫(ねんざ)しやすい部位を安定させ、保護する方法もあります。

足にフィットした、歩きやすい靴をはきましょう。

足に合ったサイズの、なるべくかかとの低い安定感のある靴をはきましょう。

転倒予防のため、病気や姿勢の悪さに注意しましょう。

引用:くすりと健康の情報局