マラソンランナーに多い膝の痛み・ランナー膝とは?

健康のためにも日常的にジョギングやウォーキングを行うという方、多いと思います。ジョギングは運動不足の解消や下半身の健康など肉体的にはもちろん、汗をかいたり、何キロ走ったという達成感によって幸福ホルモンと呼ばれるドーパミンの分泌などを促すことから心身ともに健康を維持するためにはもってこいの運動といえます。

けれど例えばダイエットを目的としている、スポーツ選手として大会に出る、あるいは職業としてジョギングを行っているといった方々は身体、特ににはなるべく気を付けて活動するようにしましょう、特に運動場などではなく普段からアスファルトなどの硬い地面で活動している方は膝や足首にかかる負荷が大きく、ケガをしてしまいやすいので注意が必要です。

それではジョギングやウォーキングなど走る競技をされている方に起こりやすいランナー膝について記事をかいてまいりたいと思います。

ランナー膝とは?

その名の通りランナー、特にマラソン選手など長距離ランナーが発症しやすいとされる「ランナー膝」は、正しくは「腸脛靭帯炎」と呼ばれるオーバーユースによる膝の疾患です。

「腸脛靭帯」とは、お尻の筋肉である「大殿筋」から脛の骨の前外側にある「ガーディ結節」という膨らんでいる部分に繋がっている靭帯で、ランニング時には足を地面に着けたとき上半身が前へ傾かないよう支える働きをしています。

また腸脛靭帯膝が伸びている状態のときには大腿骨の外側にある出っ張り「大腿骨外側上顆」の前にあるのですが、膝を曲げる際に、およそ30°ほど曲げた時点で外側上顆を乗り越え、後ろ側へと移動します。この大腿骨外側上顆の前後を移動する動きにより、腸脛靭帯は骨の出っ張りに何度も擦れることになり、炎症を起こしてしまうのが「腸脛靭帯炎」、つまり「ランナー膝」というわけです。

従って、ランナー膝膝の曲げ伸ばしを繰り返す長距離ランナーに多い疾患なのですが、特に練習量を増やしたときや初心者がマラソンに挑戦しようとして練習し始めた時などに発症しやすいと言われています。これは腸脛靭帯がまだ硬く伸びにくい状態で何度も大腿骨外側上顆の出っ張りに擦れてしまうためで、摩擦抵抗が強いために炎症を引き起こしてしまうのです。

また、内反膝、つまりO脚の人は足が太腿から脛にかけて内側に曲がっているため、膝の外側を走っている腸脛靭帯が大腿骨外側上顆に触れやすくなってしまいます。また足の傾きのせいで体重が外側にかかりやすいことも手伝って腸脛靭帯への摩擦が強くなるため、やはりランナー膝になりやすいと言われています。

ランナー膝の予防・対策方法

ランナー膝は腸脛靭帯と大腿骨外側上顆との摩擦で起こるものですから、この摩擦抵抗を減らすことが出来れば予防・対策に繋がります。摩擦抵抗を減らす効果的な方法の1つは、ストレッチで腸脛靭帯を柔らかくしたり周囲の筋肉を鍛えることで膝や腸脛靭帯にかかる負担を軽減したりすること。特に運動前には念入りにストレッチを行い柔軟性を高めておき、運動後はマッサージを行って血行を良くするように心がけましょう。血行が良いと老廃物が排出されやすいため、膝へのダメージを蓄積せずに済みます。

またランニング後に痛みを感じたならアイシングで炎症部分を冷やし、安静にしてしばらく様子を見ましょう。ランナー膝も早期治療が早期回復のカギですから、運動のたびに痛みを感じるのであれば早めに専門家に診てもらうようにしてください。

まとめ

今回は名前の通り、よくジョギングなどの運動をされる方に起こりやすいランナー膝の解説とその改善方法などについて記事を書いてまいりました。文中にもストレッチが効果的という記述がありますが、ランナー膝などを始めスポーツ障害、つまりスポーツに起因して起こるケガや不調というのは往々にして筋肉や靭帯などの使い過ぎによって起こることがほとんどです。

これを改善するには日ごろからのケアはもちろん、ストレッチなどだけでなく下記のように筋トレなどを行うことによって結果的に膝や足首などにかかる負荷を軽減することができますので、気になる方は是非ためしてみてください。

エクササイズ1 スクワット

・両足を肩幅ぐらいに広げて、まっすぐに立つ

・お尻を後方に突き出し、次に下げる

・お尻が膝より低くなるまでしゃがむ

・背筋の自然なカーブを維持する

・視線は前方か、やや上向き

・かかとは常に地面につける

・両膝をやや外側に開く

・膝と腰を完全に伸ばして立ち上がる

 

エクササイズ2 前後ランジ

・両足を腰幅ぐらいに開き、まっすぐに立つ

・片足を前方に大きく踏み出す

・前の膝を直角に曲げ、後ろの膝を地面につける

・背筋は伸ばしたまま

・前足を元の位置に戻して立ち上がる

・左右交互に行う

片足を後ろに踏み出すバージョンも行うとなおよいでしょう。

 

エクササイズ3 片足ルーマニアン・デッドリフト

・両足を腰幅ぐらいに置いて、まっすぐに立つ

・上半身を前方に倒すと同時に、片足を後方に上げる

・上半身が地面と平行になったら、一旦停止してバランスをとる

・後ろ足を元の位置に戻して立ち上がる

・左右交互に行う

引用:MELOS

URL: https://melos.media/training/63610/