ぶつけてから膝が不安定?それは膝靭帯損傷かも!!

私たちにとって、ケガや病気の程度は「痛み」が大きいか小さいか、あるいは伴うか伴わないか、ということが重要になってくると思います。例えば病気やケガを負っていても痛みがなければ自然治癒に任せて放置してしまいますし、違和感程度であれば気にすることなく日常生活を営んだり、スポーツを続けてしまうものです。

しかし、世の中には初期段階では痛みを感じなかったり、身体の部位によっては痛覚がなく痛みを感じない箇所というものが存在します。例えば歯や髪の毛もそうです、これらは繋がっている歯茎や頭皮が引っ張られなければ痛みを感じません。

あるいはもそうです、骨も度重なる負荷によって起こる疲労骨折などではあまり痛みを伴わず、骨自体には痛覚もほとんどありませんので痛みを感じません。骨折などで痛みを感じる原因は骨が折れたり、衝撃によって傷ついた周りの神経や繊維が感じ取っているものです。

今回ご紹介する靭帯もそういった痛覚の少ない箇所ですが、小さな断裂を放置しているとしばらく動けないほどの大きなケガに発展してしまうこともあります。それでは詳しくみてまいりましょう。

膝靭帯損傷とは?

膝という組織が大切なものであるという事はどなたもご存知だと思います。それは行動する度に常に使用されていますし、膝がなければ座ることもできません。その為、複数の靭帯によって大腿骨(ふとももの骨)と脛骨(スネの骨)は繋がっていますが、この繋がりは動きをスムーズにするために、それほど頑丈には出来ていません。

具体的な靭帯の名称は内側側副靭帯(ないそくそくふくじんたい)、外側側副靭帯(がいそくそくふくじんたい)、前十字靭帯(ぜんじゅうじじんたい)、後十字靭帯(こうじゅうじじんたい)という四つの靭帯によって膝関節は構成されています。

ちなみにそれらの靭帯を守るようにいわゆる膝のお皿と呼ばれる膝蓋骨(しつがいこつ)が存在しますが、本件とはあまり関係がないのでご紹介にとどめておきます。

そして先ほどもご紹介した靭帯のうちのひとつに損傷あるいは断裂が起こってしまうのが今回のテーマでもある膝靭帯損傷というわけです。また冒頭でも触れていますが、衝突やねじりの程度によっては細かい傷が入っていてもそれほどの痛みを感じることはありません。

また先に上げた四つの靭帯の中でも比較的損傷が起こりやすいのが足を固定したり、骨同士のズレを防ぐ役割を持っている前十字靭帯です。もちろん他の靭帯に損傷が現れる時もありますが、前十字靭帯と後十字靭帯は内側・概則側副靭帯よりも内側をつなげているので衝撃による負荷がかかりやすいからです。

膝靭帯損傷の症状は?

程度によってことなりますが、膝の靭帯が損傷・断裂すると赤く腫れあがり熱を帯びていくのを感じると思います。痛みは個人差もありますが、軽度の場合はそれほど感じず、あったとしても冷やしていくうちに徐々に熱も炎症も少なくなり、収束していきます。

また重症の場合は断裂音と共に激しい痛みが広がり、スポーツ選手であればプレーを続行することは不可能ですし、歩いていた時の事故などであれば誰かの肩を借りなければ移動することもできなくなってしまいます。

重症の場合はそのまま専門家に担ぎ込まれてしまうと思いますので、軽度の場合の話を続けますが、痛みや炎症が収まると治ったように感じてしまうかもしれませんが、多くの場合は内側側副靭帯、外側側副靭帯を損傷している場合は左右の、そして前十字靭帯、後十字靭帯を損傷している場合は膝の前後運動の際にぐらつき不安定感を覚えるようになります。

そしてここで注意していただきたいのが、しっかりと症状を分析せず日常生活に戻ったり、スポーツの練習を再開してしまうことです。痛みがなくとも靭帯が断裂していた場合は、断裂している箇所を他の筋肉靭帯補っているだけに過ぎません。

ですから再度、衝突や転倒によって負荷がかかると今度は他の靭帯も断裂したり、ひどい時には関節がズレてしまう(亜脱臼)ことも考えられ、そうなると日常生活で不便なのはもちろん、スポーツなどを再開できるようになるまで数か月~半年間も休養しなくてはならなくなります。

まとめ

今回は四つある膝の靭帯のいずれかに損傷・断裂がおこる膝靭帯損傷について記事を書いてまいりました。文中でも触れている通り、痛みがないからといって違和感を放置することは後の大けがにつながる可能性がありますので、疑わしい時は必ず一度、専門家に相談しましょう。

また膝や肩の脱臼というのは特に若い時に経験してしまうとその後、かなりの高確率再発する(癖になる)ようになって、ちょっとした階段の昇り降りやゆっくりとした方向転換で脱臼してしまうこともありますから、専門家に従ってキチンと治すようにしましょう。

膝の違和感だけでなく、腰、肩、背中、などに痛みや不調を感じる時はお気軽にご相談ください。