放っておくと歩けなくなる!?変形性股関節症とは!!

病は星の数ほどあるといわれますが、中には男性に比べて女性によく現れるという疾患があります、今回ご紹介する変形性股関節症もその一つです。女性はホルモンバランスの変化、あるいはそもそも骨格や関節の結びつきが弱く筋肉量も少ないことから加齢によって膝や腰に変形が見られたり、痛みが起こる事がしばしばあります。

詳しくは文中に記載していきますが、この変形性股関節症を患うと「階段を上るのが辛い」「しゃがむのが億劫」「歩きにくい」などの症状が見られ、重症化していくと痛みで歩けない状態になってしまう方もいらっしゃいます。

この疾患だけではありませんが、病気は早期発見・早期改善の対処をすることが一番です。今回の記事をご覧になって、身に覚えのある症状がありましたら、お早めに専門家に相談しましょう。それでは記事を始めてまいります。

股関節の構造について確認

では、本題に入る前に股関節構造から説明していきたいと思います。言わずもがなですが、私たちの脚がスムーズに動くのはこの関節があるからです、この関節はふとももの大腿骨骨盤を繋ぐように出来ているわけですが、大腿骨の先端は球状になっていて、この部分を大腿骨骨頭(だいたいこつこっとう)と呼びます。

またこの球状の先端が収まるように骨盤には大きなくぼみがあって、ここを寛骨臼(かんこつきゅう)という風に呼びます。正常な人の股関節は寛骨臼(かんこつきゅう)が骨頭部分の四分の五を包み込むことで、安定した脚の動きを可能にしています。

股関節には、歩くだけで体重の約4倍ほどの重力が掛かると言われており、この大きな負荷を支える為に股関節は、骨だけでなく筋肉によって覆われ、安定感を保っています。それによって私たちは体を曲げる、反らす、歩く、立つといった様々な動作が出来るのです。

また大腿骨頭の両端は柔軟で弾力性を持つ軟骨に覆われており、この軟骨が潤滑液の役割を果たすことでスムーズな動きが可能になっています。しかしこの軟骨は加齢と共にすり減っていき、これが減少・消滅してしまうことで骨がぶつかり合って炎症を起こして痛みが出たり、変形してしまう疾患が今回ご紹介する変形性股関節症というわけです。

変形性膝関節症の過程と症状

変形性股関節症は進行が非常に遅い疾患の一つです。付け根の違和感に始まり、こわばりが見られ、痛みを発症するという過程をたどるので放置してしまう方が多くいらっしゃいます。冒頭でも触れている通り、早期発見・改善を心がけましょう。

それでは進行による症状の説明ですが、そもそも変形性股関節症には大きくわけて二種類の過程が存在します。一つは先ほどの通り、加齢による軟骨の消滅、次は生まれつき盤の発育が良くない臼蓋形成不全(きゅうがいけいせいふぜん)が原因という事もあります。

しかしいずれの場合も自覚症状は同様です。まずはどちらの場合でも徐々に軟骨がすり減っていきます。この時は、痛み違和感も感じないので自覚症状を持っている方はほとんどいらっしゃいません。

次に軟骨のすり減りが進行していき、骨同士の隙間が狭くなっていき、軟骨の消耗によって起こる刺激や、関節への負担が掛かり関節炎が起きます。この頃に、股関節の付け根・鼠径部(そけいぶ)やお尻の横にある出っ張り(大転子)周辺に痛みが現れます。

そして、関節軟骨の水分が減少していくと同時に、軟骨の弾力性が失われていき、股関節の可動域が制限され、股を開いたり、あぐらをかく、靴を履く、階段を上がるなどの屈伸運動困難になります。

次に軟骨のすり減りが進行していくことで軟骨が覆っている骨が段々露出してきます。やがて骨同士が接触し、摩擦が起こるので痛みが増加します。更に骨が押しつぶされ、骨が硬くなります。

また硬くなった骨同士がぶつかる事で骨に骨棘(こっきょく:骨がトゲ状に変形する事)が出来て痛みの原因がさらに増え、この頃から股関節が不安定になり、歩行の際、左右のバランスの悪さにより上半身が落ち着かなかったり、足を引きずったりするようになります。

そして最後には股関節の可動域制限されるようになったり、骨同士がくっついてしまい、股関節が全く動かせなくなり、生活に支障をきたすようになってしまいます。

まとめ

今回は、股関節の軟骨の磨り減りによる、消耗によって引き起こされる股関節の疾患、変形性股関節症について股関節の構造、過程、症状について確認してまいりました。

文中でも触れている通り、この疾患は病期によって症状の程度が違います。違和感に気づいた段階で専門家に相談するのはもちろん、肥満、運動不足、あるいは仕事や私生活でしゃがんだり、屈んだりを繰り返している方はなるべく股関節負担を掛けないように気をつけましょう。

また変形性股関節症は高齢女性の80%以上にはその傾向がみられるといわれています。今は何も感じていなくても不安を感じる方は将来の脚の健康の為にも一度、検査を受けてみてはいかがでしょうか。