手のひらへの圧迫にも要注意!尺骨管症候群とは?

運動不足身体によくないというお話はどのような健康番組やメディアなどでもよく聞くものですが、反対にいつも動かしている部位でも、常に決まった方向に負荷をかけ続けてしまうことで不調をきたすこともあります。

その代表的なものが座り過ぎや日ごろの姿勢によって起こる腰痛や、今回のテーマになっている指・手首の疾患である尺骨管症候群などです。この疾患はパソコン作業や重たい袋を持つことで手指に度重なるストレスをかけ続けることでよく起こるものです。

今回はそんな尺骨管症候群について構造や原因、そして症状などを確認していきたいと思います。それでは記事を始めてまいります。

尺骨神経とは?

私たちの体中に張り巡らされており、各器官とその働きを連結・統御するための情報伝達を行う、神経。このうち手指の動きや知覚を支配している神経の1つが、「尺骨神経」です。

尺骨神経は主に小指と薬指を曲げたり親指を人差し指の根元に着ける動作(内転)、また人差し指から小指までの4本の指を外に開く動作(外転)、あるいは互いにくっつけたりする動作(内転)を可能にする一方で、知覚神経として薬指のうち小指側半分から薬指全体にかけて、また手のひらの小指側半分の感覚を支配する役割を担っています。この神経は上腕から前腕を通り指先にまで広く分布しているのですが、皮膚に近い部位に存在していることもあり、特に2ヵ所圧迫を受けやすい部分があります。

その1つは、肘関節部。机の上に無造作に肘をついたときに手がピリピリとしたという経験をしたことのある人は少なくないと思いますが、これは肘関節にある「肘部管」と呼ばれる管を圧迫したためで、この中を通る尺骨神経に触れたことで起こる現象です。もう1つは手のひらの小指側にある「尺骨管(ギオン管)」で、ここも皮膚に近いうえに「豆状骨」と「有鉤骨」という2つの骨に挟まれスペースが狭くなっているため、ちょっとしたことで中を通る尺骨神経が圧迫されてしまいます。

この2ヵ所のどちらかで尺骨神経が長期間圧迫され続けると、慢性的な神経麻痺になってしまいます。これを「尺骨神経麻痺」と言いますが、特に肘部管へのストレスが原因で起こる尺骨神経麻痺を「肘部管症候群」、尺骨菅へのストレスが原因で起こるものを「尺骨管症候群(ギオン管症候群)」と呼びます。

尺骨管症候群の原因と症状

尺骨神経麻痺が尺骨管へのストレスにある場合、その原因としては長時間の自転車の運転やパソコンのマウスの使用、タイル張りなど手のひらを床に着いた状態での長時間の仕事が挙げられます。加えて腕立て伏せやゴルフといった筋トレやスポーツ、更には慢性関節リウマチや軟部腫瘍など他の疾患が原因で起こっているケースもあります。

いずれにしても尺骨神経が麻痺すると先述したような尺骨神経の働きが阻害されるため、小指や薬指が伸びにくくなったり、人差し指から小指にかけての内外転、親指の内転ができなくなってしまいます。このため親指と人差し指で何かをつまんだり挟んだりする力が弱くなったり、お箸を持ったりボタンをかけたりといった動作が難しくなります。

また小指と薬指に痛みや痺れなどの感覚障害を起こしますが、手のひら部分に限られており手の甲側には症状が見られないのが特徴です。

まとめ

今回は指を使った仕事をよくされている方に起こりやすい尺骨管症候群について記事を書いてまいりました。文中にもありますが、尺骨管症候群は軽度の内は少し指が動かしにくいといった程度の症状しかありませんが、重症化していくと他の疾患を併発したり、手指が動かず、日常生活に支障を来すようにもなります。

また尺骨管症候群と似たような症状を引き起こす手指の疾患もたくさんあるのですが、指はいつも動かしているように見えて、動いている方向は決まって同じ(パソコン作業・重たい荷物を持つ)ことが多く、意識して伸ばすようにしなければそれらの疾患が起こる確率が上がってしまうものです。

例えば以下のように指や手首をいつもストレッチする習慣をつけ、いつまでも痛みのない生活が送れるように努力しましょう。

指のストレッチ

このストレッチは、指の末端まで血の巡りをよくすることによって、腱鞘炎を防ぐストレッチです。

どこでも簡単にできるので、ちょっとした休憩などに行うと良いでしょう。

指を一本ずつ、手の甲の方向へ反らせる

  1. を2〜3セット程度、ゆっくり行う

手首のストレッチ

指のストレッチと同様に、手首周辺の血流を促進するストレッチです。

机の上に手を置く

反対の手で人差し指から小指を掴んで、10秒間反らせる

反対の手も同様に行う

長橈側手根伸筋ストレッチ

長橈側手根伸筋(ちょうとうそくしゅこんしんきん)は、手首を伸ばす働きをする腕の筋肉の一つで、親指側に手首を曲げる働きもあります。

この長橈側手根伸筋ストレッチには、筋肉の緊張緩和に効果があるため、腱鞘炎の痛みを予防することができます。

椅子に座り右肘を伸ばし、前に出す

右手のひらをお腹に向ける

左手で指の付け根を掴む

右手の力を抜き左手を手前に引く

反対も同様に行う

引用:ハートメディカルグループ

URL; https://www.heart-medical.co.jp/blog/archives/13668