それ、ホントに五十肩?腱板断裂の原因や症状について
ケガというのは様々な要因から生まれるものです。例えば筋肉のトレーニングを習慣にしている方であれば寒い時期に十分なストレッチを行わずにいつも通りのテンポでトレーニングを開始して肩を壊してしまったり、運動不足が続いたある日、ちょっと棚の上にあるものを取ろうとしただけで首スジや肩周りを痛めてしまうなども考えられます。
また皆様ご存知のように若い時よりも年齢を重ねた方がケガの頻度はあがり、少しぶつかっただけ、転んだだけでもケガをするようになるので、肉体の衰えを感じた時は障害物や自分の身体の動きに注意するようにしましょう。
今回はそういった時期に起こりやすい腱板断裂について記事を書いていこうと思いますが、腱板断裂の症状は四十肩や五十肩の症状とも似ており、放置してしまう事が多く、痛みが激しくなって初めて専門家に駆け込む方が大半です。
しかし、どのようなケガでも早期発見・早期改善に勝る改善法はなく、当記事をお読みいただき、気になることがある場合はなるべく早く対処するようにしましょう。それでは記事を始めてまいります。
腱板断裂とは?
50代~60代の中高年世代の人に多い肩の痛みと言えば「五十肩」を思い浮かべる人が多いと思われますが、「五十肩だと思っていたら実は『腱板断裂』だった」というケースは珍しくありません。
「腱板断裂」の「腱板」とは肩甲骨と腕の骨を繋いでいる「腱」のことで、「腱」とは筋肉が骨に接合するその手前で筋状になっている部分、インナーマッスルのことを言います。肩甲骨と腕の骨の間をつなぐインナーマッスルの場合は4つの筋肉が合流してできているため、それぞれが平べったくなっていることから、「板状の腱=腱板」と呼ばれているわけです。
「腱板断裂」はこの腱板の一部に亀裂が入っている状態のことで、骨から剥がれるような切れ方をしているのが特徴です。しかし腱板はアキレス腱のような細い筋ではなく前述の通り平べったい板状になっているため、亀裂が入ってもそれを起点に全てが切れて骨から完全に剥がれてしまうということは殆どありません。加えて腱板が切れてもその外側の筋肉には問題がないため肩を動かせることも多く、そのため切れたからと言ってアキレス腱断裂のように強い自覚症状を感じて慌てて病院に駆け込む、ということが少ないのです。
また腱板断裂は転倒や重たいものを持つなどの衝撃により起こる外傷性のものもありますが、加齢により腱板が徐々に擦り切れて起こったり、あるいはその状態で軽微な衝撃を受けて起こることもあるため、本人に「原因」の心当たりがなく、これが診察を受けることを遅らせてしまう要因の1つとなっているようです。
腱板断裂の症状とは?
腱板の大切な役割の1つは肩関節の安定性を確保することであるため、ここの1部が切れると安定性が損なわれ、腕が上がらない、上げ下ろしの際に痛みや引っかかるような感覚がある、運動時や夜間に肩が痛む、といった症状が現れます。
この「腕が上がらない」という症状が五十肩とよく似ているために混同し、五十肩だと思って受診したら腱板断裂だった、というケースが多いのですが、五十肩は腱板の炎症が関節包にまで広がって起きる疾患ですからそもそも原因が全く異なりますし、五十肩の場合軽症なら自然に治ることもありますが、腱板が切れた場合はこれを放置していて自然にくっつくという可能性はありません。
また腱板断裂の場合は発症後1~2ヶ月痛みが続き、その後落ち着いてきたと思ったらまたぶり返す、といった風に症状に「波」があるのも特徴ですが、五十肩の場合痛みや肩の稼働領域は常に一定で、日によって変わるということはありません。
まとめ
今回は年齢を重ねることで起こりやすくなる肩の疾患、腱板断裂について記事を書いてまいりました。文中にもあるようにこの疾患は五十肩などの症状と似ていることもあり、痛みを感じることがなければ放置されてしまうことがよくあります。
また皆様ご存知のように肩は前後上下左右とどちらにでも稼働できる非常に優秀な関節であり、その分、構造が複雑でケガをしやすかったり、コリや痛みを感じることが多い組織ですので、日ごろからケアしてあげることで腱板断裂だけでなく、様々な疾患の予防にもなります。
以下には腱板断裂の予防やリハビリに使用されるトレーニングをご紹介しておきますので、気になる方はぜひ、試してみてください。
1)腱板の筋力トレーニング
腱板のトレーニングは肩の機能を獲得するために重要です。
ゴムチューブや重錘(じゅうすい-重りのこと)を使用してトレーニングを実施しますが、ポイントは低負荷で行うことです。
強い負荷で行うと周りの大きい筋肉のトレーニングになってしまうため注意が必要です。
2)肩関節や肩甲骨の動きの獲得を!
肩の関節可動域に制限がある方や引っかかりがある方、筋肉の柔軟性が低下している場合はストレッチや可動域練習を行っていきます。
ポイントは肩甲骨の動きの改善、バランスよく筋肉の柔軟性を改善することです。
筆者の経験では、特に肩の後ろにある筋肉の柔軟性が低下していることが多く見られるため、この部分を重点的に行っています。
3)痛みのコントロールをするための姿勢や日常生活の指導
寝るときの痛みが強い場合は、横向きに寝たり腕の下にクッションを入れたりして、少しでも痛みが楽になる姿勢で寝るようにしましょう。
引用:OGスマイル
URL: https://ogw-media.com/smile/cat_rehabilitation/1192#i-3